理想的な正社員と派遣社員の職場

私が短期の仕事として引き受けた派遣の仕事の中で、商品開発部でのデータエントリー業務というものがありました。生活用品を多く取り扱う大手企業の研究所で、私が就業した商品開発部では、それぞれの生活用品ごとにチームが分かれており、実際に消費者がどのようにして使用しているのかを調査し、取りまとめ、そのデータを次の商品開発に活かすために分析するという部署でした。

私がしていた具体的な仕事は、国内外から選んだモニターの方が、実際に生活用品を、どのタイミングで、どのように、どの種類を使用していて、なぜそのタイミングで使用したのか、なぜそれを選んだのか、1週間サイクルで、毎日の生活行動まで細かく記入されたアンケートをフォーマットに入力し、データ化するという仕事でした。

また、モニターの人が来社し、インタビューを受けるのですが、それに同席し、インタビュー内容をまとめるというものもありました。

モニターの方にお願いするアンケート資料をまとめて、発送する業務もありました。

これらの仕事は、正社員の細かな指示を受けて行っていました。アンケートを入力するフォーマットは正社員の方が考えます。どのように記入するかを細かく教えていただき、私はその通りに入力していくのです。それだけではありませんでした。オフィスソフトに詳しい私に、「何かやりづらいところや、こうした方が良いという事があったら、遠慮なく言ってください」と、最初に言われました。

これが、ものすごくやりやすかったです。パソコンに詳しくなると、数値をより管理しやすい方法や、こうした方が、時間もかからず見やすくなるという方法がわかるようになるのですが、最初からフォーマットをガチガチに固められて、変更が不可能で、しかもそれが、あまりパソコンに詳しくない人が作ったものだと、後に二度手間になったり、1つの資料を作るのにやたら時間がかかってしまったりするのです。

雇用形態に関わらず、最初に決まったフォーマットを作ると、それを変更するのを嫌がる人は多いです。面倒ながらもずっとそれできたから、楽だという人もいるのでしょう。高度な技(と言う程でもないのですが)を使った資料が増えると、それを使いこなすために、それぞれがパソコンに詳しくならなければならなかったり、別のデータも変更しなければならなくなったりいう、一時的な手間が増える場合があるのも、嫌がられる原因だと思います。

しかし、この会社で一緒に働いた正社員の方は、とても柔軟な考えを持っていました。アンケートは生き物でもあります。今までとは違う回答パターンが出てきたりするのですが、その際「こうしてはどうでしょう?」と提案すると、快く了承してくれるのです。

この会社には、他にも多くの派遣社員が働いていましたが、私のようなデータエントリー業務をしている派遣社員が働く別ブースというものがありました。基本的にはここでパソコン入力を行い、必要な時に、正社員のブースへ出向くのです。

完全に、正社員の仕事と派遣社員の仕事が分離化されていました。とても仕事をしやすいと感じました。

そもそも、派遣社員は、正社員と立場が違います。企業は、正社員を長期的な目で見て、最終的に自社の戦力になるよう育成します。一方、派遣社員には即戦力が求められます。派遣社員それぞれが持つ、高度なスキルを企業に役立てるというのが本来の姿です。だからこそ、派遣社員は時給が高いのです。

この会社は、それをきちんと理解して派遣社員を取り入れていると感じました。時給も良かったです。派遣社員のスキルを最大限に活かし、仕事を効率化し、肝心な部分は正社員がしっかり責任を持ってやり遂げる、そういった職場でした。

職場の人同士、正社員、派遣社員に関わらず、協力関係にあるというのも素晴らしいところでした。女性が使う生活用品を多く取り扱っており、職場の8割が女性だったのですが、子育て中の方も多く、困った時は助け合うのが当たり前の社風だったのです。

派遣社員として様々な企業で就業しましたが、派遣社員と正社員を上手に区別し、それでいてお互いが協力関係にあるという企業はなかなかありません。ここで働いた経験は、私にとってとても大きなものでした。